以前、パワポケについて「野球ゲームだと思って遊んだのに、物語の方が記憶に残った」と書きました。
でも、『パワプロクンポケット10』を振り返ると、少し違います。私が今でも好きなのは、表サクセスの高校野球そのものの物語です。
下積みから始まった主人公が成長し、ずっと先にいた天道翔馬と向き合う。その過程が、王道なのに今も忘れられません。
※この記事には『パワポケ10』の表サクセスについて、物語の大まかな流れに触れる部分があります。試合結果や個別ルートの結末には踏み込みません。
パワポケシリーズ全体の魅力については、パワポケが忘れられない。野球ゲームだと思って遊んだら、物語の方が記憶に残ったで振り返っています。
パワポケ10で、野球そのものが記憶に残った
『パワプロクンポケット10』は、2007年にニンテンドーDS向けに発売された作品です。選手を育てる「サクセスモード」には二つの章があり、今回振り返る表サクセスの名前は「甲子園一直線編」。親切高校で甲子園を目指します。
サクセスは、主人公を野球選手として育てながら物語を進めるモードです。『10』について私の印象に残っているのは、選手が強くなるだけでなく、主人公が高校野球部の一員として少しずつ前に進んでいく感覚でした。
パワポケと聞くと、意外な展開や重い物語を思い出す人もいると思います。私もそうです。それでも『10』は、甲子園を目指す野球の話だけで、十分に続きを見たくなる作品でした。
親切高校で始まる、下積みからの甲子園
私の記憶にある主人公は、最初から周囲に期待されるスターではありません。球磨きや先輩の世話といった下積みがあり、練習やイベントを重ねながら野球選手として成長していきます。
監督に認められ、試合に出ることを目指す。さらにその先には、甲子園という分かりやすい目標があります。この一歩ずつ進む感じが、私には面白かったのです。
寮生活や上下関係、下級生の雑用を今振り返ると、私は少し「昭和っぽい」部活の空気も感じます。作品の舞台が昭和という意味ではなく、現在の私から見た印象です。
そうした泥くささがあるからこそ、主人公の成長に手応えがありました。初めから大舞台で活躍する選手の話だったら、天道との関係も、これほど強く記憶には残らなかったかもしれません。
天道翔馬は、最初から対等なライバルではなかった
その主人公の前にいるのが、天道翔馬です。私の記憶では、星英高校の天道は同学年でも早くから注目される野球エリートでした。
一方の主人公は、親切高校で下積みから始まります。二人は同じ高校球児でも、スタート地点がずいぶん違って見えました。
最初の天道には、主人公がまだ眼中にないようにも感じられます。だから私は、この二人を「初めからライバルだった」とは思っていません。
主人公が練習や試合を重ねて力をつける。そして、天道を追いかけるだけだった関係が、天道の側からも主人公を意識する関係へと変わっていく。私にとって、『10』の一番熱いところはそこです。
認められていく過程が、最後の一戦を熱くする
主人公が天道に認められることは、単に強い相手と対戦できること以上の意味がありました。
球磨きから始まった主人公が、ここまで来た。その積み重ねを知っているから、天道との対戦が特別に感じられます。
私の記憶には、天道自身が故障を抱えながらも、主人公への意識を強めていく姿も残っています。最初から遠くにいた天才にも、順調なだけではない時間がある。主人公との距離が縮まるにつれ、天道もただの「倒すべき強敵」ではなくなっていきました。
そして迎える、最後の天道との一戦。具体的な試合結果以上に、そこへ至るまでの主人公と天道の関係が、私には強く残っています。下積みから始まった高校野球の時間が、そこでぶつかるように感じました。
王道の野球と、パワポケらしい物語の余白
もちろん、『パワポケ10』の面白さは野球本編だけではありません。私は、選ぶ行動や関わる人物によって物語の見え方が変わり、選手育成の楽しみにもつながるところが好きでした。
ただ、今回は彼女候補の個別ルートや結末には踏み込みません。私がまず残したかったのは、親切高校で成長する主人公と、天道翔馬とのライバル物語です。
甲子園を目指すという、まっすぐな目標がある。一方で、野球の勝敗だけでは物語のすべてを言い切れない。この両方を感じられるところも、私にとってはパワポケらしさです。
『パワポケ11』まで知った今、天道のその後を単純な成功物語としては受け取れない気持ちもあります。今回はその詳細を書きませんが、すべてがきれいに報われるとは限らないところまで含めて、このシリーズの物語は記憶に残ります。
大人になった今も、この高校野球を思い出す
『パワポケ10』は、意外な展開や重い物語があるから好きなのだと思っていました。でも改めて振り返ると、私が忘れられないのは、それだけではありません。
下積みから始まり、力をつけ、先を走っていた天道からライバルとして意識される。その変化があるからこそ、最後の対戦が熱いのです。
パワポケ10は、王道の高校野球をやっても面白かった。そして、そのまっすぐな物語の周りにも、簡単には割り切れない余白がある。大人になった今、私がもう一度振り返りたくなる理由は、そこにあるのかもしれません。
参考にした公式情報
- 任天堂「パワプロクンポケット10」商品情報:発売日、機種、ジャンル、サクセスの章名と概要を確認しました。

